
歯の健康には、歯科医院での治療だけでなく、毎日の「セルフケア(自分で行う歯みがきや清掃)」がとても大切です。
正しくケアできれば、歯周病はほとんど防ぐことができます。
しかし、実際には30歳以上の約8割が歯周病を持っており、多くの人が「正しい磨き方」をできていないのが現実です。
1. 歯肉炎(軽い歯ぐきの炎症)
歯肉炎は、正しい歯みがきができれば治ることが多い病気です。
例えば、患者さんが「本気で磨けば汚れは落とせる」のに、普段は同じように磨けていなかったケースでは、毎日きちんと磨くことで数週間後に歯ぐきがきれいになりました。
ただし、「強すぎる力でゴシゴシ磨く」と、細かいところに汚れが残ってしまうことがあるため、優しい力で細かく動かすコツも必要です。
2. 軽い歯周炎
歯周炎は歯肉炎より進んだ状態で、セルフケアだけでは治りませんが、軽度であれば正しい歯みがき+少しの治療で大きく改善できます。
例:ほとんど磨けていなかった方が、指導後に毎日きちんと磨くようになり、歯ぐきの腫れが減って治療がスムーズに進んだケースがあります。
3. 中等度〜重度の歯周炎
ここまで進むと、歯科医院での専門的な治療がとても重要になります。
とはいえ、毎日のセルフケアができていないと治療効果が出ません。
炎症が強かった方が「自宅でのケア+医院でのケア」を合わせることで、歯ぐきが引き締まり、見た目も改善した例があります。
病状が変わると“磨きづらい場所”も変わるので、その都度、道具や磨き方のアドバイスが必要です。
4. 喫煙者などの「硬い腫れ(線維性の腫れ)」
喫煙などで血管が収縮すると、歯ぐきが硬く腫れ、見た目では変化がわかりにくいことがあります。
このタイプは出血もしにくいため、「良くなっている」という実感が患者さんに伝わりにくく、習慣化が難しい傾向があります。
だからこそ、丁寧な歯みがき指導がより重要になります。

